厳しいからこそ代表の強化になる

そうはいっても、これから14試合は過酷な日程が続く。日本から南アフリカまでだと2日間がかりの移動となる。「タフですね」と言えば、ハハハと笑った。

「タフはタフですけど、(試合の間の)1週間はしっかり休めるので大丈夫です。ワールドカップみたいに中3日はないでしょ。結構、楽観的に見ていますけど」

肉体的にも精神的にも厳しい環境だからこそ、日本代表の強化にもなるのである。むしろ、心配は観客の入りか。次の日本での試合となる3月19日のレベルズ(豪州)について、「まだ8000枚しかチケットが売れてないという話だったんです」と漏らす。

「試合内容で、チケットが売れるかどうか、変わっていくと思います。今日の試合で、お客さんがどう判断してくれるかですね」

心配ご無用。この日のような試合をつづければ、ファンは増えていくだろう。勝利を重ねれば、もっともっと増えていく。ま、キンちゃんのプレーを見るだけでもチケット代の価値があるのだが。

松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)、『新・スクラム』(東邦出版)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。
【関連記事】
「悪夢との訣別」ラグビーW杯最年長・大野均がもらった祝福メール
船出したスーパーラグビー日本チーム「サンウルブズ」の魅力とは
ラグビー日本代表「打倒・南アフリカの1500日」
「灰になっても、まだ燃える」-大野 均
パナソニックを3連覇に導いた堀江翔太の“大人”キャプテンシー