労働者保護の政策と労働市場の規制緩和に折り合いをつけ、新たな雇用政策の枠組みをつくることが求められている。筆者は働く人の「エンパワーメント」に基づく施策が必要であるとし、そのポイントを指摘する。

労働政策の基本概念「エンパワーメント」の本来の意味とは

図:エンパワーメントの考え方に基づく労働政策
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図:エンパワーメントの考え方に基づく労働政策

2010年の幕があいた。と同時に、鳩山政権になって3カ月以上がすぎている。大いに不満である。新政権の雇用や労働に関する基本戦略が全く見えてこないことに大きな不満と焦りを感じるのである。

今、雇用と労働の世界は、大きな転換が求められている。なかでも重要なのは、戦後ずっと続いてきた労働者保護の政策と、ここしばらく進んできた労働市場の規制緩和に折り合いをつけ、新たな時代の雇用政策の枠組みをつくることが必要な時期に入っていると思われるが、こうした動きが全く見えてこないのである。

このままいくと、労働団体などが求める労働者保護政策に落ち着く可能性がある。もちろん、小泉政権以来の規制緩和には、修正すべき点が多いし、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用のもとで働く人に関して、ある程度の規制強化も必要だと考えるが、グランドデザインや基本概念なしで進むことに危惧を覚えるのである。