14年、円安や訪日ビザの緩和などの影響で外国人旅行者の数は過去最高の1341万人。政府は3000万人の来日を20年の目標にしている。ビジネスチャンスを逃すなと、現在、都心がホテルの建設ラッシュなのはご存じの通り。都も世界一のおもてなし都市を実現しようと、都、市区町村、民間事業者が連携協働して、ソフト・ハードの両面から、外国人旅行者がストレスなく安心かつ快適に観光を楽しめるよう、受け入れ環境整備と支援に力を入れている。様々な宗教、言語、喫煙者と非喫煙者に至るまで、多様性を大いに認める姿勢である。
さて、これまで、B&Bやモーテルなどがある欧米の都市に比べると、東京は宿泊施設の選択肢がきわめて少なかったが、15年には、低予算で東京を楽しんでもらおうというユニークな宿泊施設が次々に開業している。仕掛け人はいずれも30代の若者だ。
2015年10月、中央区日本橋横山町にオープンした「IRORI」は、旧問屋ビルをリノベーションした1泊3000円で泊まれるバックパッカー向けのゲストハウス。手がけたのは、元外資系金融出身で、現在は日本各地の未活用不動産を生かし、地域の魅力を発信することで、新しい人の流れを作る事業を営む<Rプロジェクト>代表の丹埜倫さん。
「私自身もずいぶんバックパックで海外を旅したのですが、長期で旅行する外国人は少なくないのに、東京は相部屋とかドミトリータイプの低価格で泊まれる施設が少ない。ですから、スタッフやお客さん同士で情報が交換できる楽しい宿泊施設を東京に造ってみようと」