人生の夢とか、歩みたい方向が見つかったあとは、どうすればよいのか。臨床心理士と税理士の資格を持つキャリアコンサルタント、阪南大学の寿山泰二教授は、図のようなピラミッドを描いた。
「ぼんやり、あんなことをしたい、こんなことをしたいと思っていても、それを実現できる人は少ない。夢は胸の中にしまっておくものではなくて、まずは、紙に書いて目につくところに張ってみる。書くことで頭の中が整理でき、書かれたものが目を通して脳に伝わることで、客観性が出てくる。それを毎日、見ていることで、無意識の中に入ってくる。何でも無意識化してしまえれば強い。行動の選択が自然と夢のベクトルの方向へと向いていきます」
次にすべきなのが、夢の公言だ。
「夢は語って、たくさんの人に知ってもらう。そんなん絶対無理やで、と笑う人がいても放っておけばいい。自分の夢は自分の問題なのですから。多くの人に語ると、協力者が現れるかもしれません。チャンスや、ヒントを与えてくれる協力者です」
とはいえ、棚からボタ餅を待っていればいいわけではない。
「公言したら自ら動く。やりたい、やりたいと言うだけで、アクションをとっていなければ、協力者も本気で応援してくれません。努力している姿、がんばっている姿を見て信用するわけです」
1年ごとの夢の点検夢は近づいているか?
寿山教授は、1年ごとに点検するワンイヤー・デザインを勧める。
「近年、職場環境の変化は劇的に変わりやすくなっています。給料が下がったり、転勤になったり、人手不足で忙しくなったり、病気になってしまったりすることもありますから」
向上心の高い人にもワンイヤー・デザインは向いているようだ。
「きちんと思い描く人生の方向へ向かっているかの点検、どのくらい達成したのかという確認。また、本当にゴールがそこでいいのかを考えることもできます。そして、新たに生まれた選択肢に対応する準備もできます。お正月や4月は現実を吟味するチャンスです」
寿山泰二(すやま・やすじ)
関西学院大学商学部卒業。民間企業、公認会計事務所を経て、税理士として独立。その後、京都創成大学教授を経て現在。税理士免許と臨床心理士資格を持つ日本唯一のキャリアコンサルタント。