医師と自分の考えが異なったらどうするか?

しかもこのような場合は、説明の仕方や言葉の選び方も非常に難しくなります。セカンドオピニオンで意見が分かれるのは、こういった状況に多いのです。

今ではセカンドオピニオンを受けることは患者にとって当然の権利です。しかし、どこに行っても同じことを言われることが多い中で、複数の病院に次々とセカンドオピニオンを求めに行くことで治療の開始がどんどん遅れてしまう患者さんがいます。そのような状況を見ると、私は時間がもったいないと感じることがあります。

大切なのは、与えられた状況の中で、自分がどのような気持ちで今後の治療を受けたいかをしっかり考えることです。それはご自身の置かれた社会的環境や、年齢などによっても異なるでしょう。

やみくもに診察を受けるのではなく、まずは・がん・という病気の実態と現実を知ることが重要です。そして今後自分の人生に残された時間がどれくらいあるのかもぜひ考えてみてください。

もしがんにならなかったとして、その場合、がんと関係なく訪れる寿命や、がん以外の持病も考慮し、がんを治療した後の自分の生きる時間の生活の質などを十分に考えて、どのような治療法を選ぶかなどの希望を主治医に話すべきだと思います。

なかには「上から目線」で、患者さんの希望を考えない医師もいます。「これが当たり前なのだから、嫌ならほかの医者のところに行っても構わない」と言わんばかりの先生がいるのも残念ながら事実です。

そのような雰囲気の医師には、自分の気持ちを伝えるのがためらわれることでしょう。医師との間に気まずい雰囲気ができるよりはましだと、黙って自分を押し殺して、不安や不満を抱えながら治療を受けている方も実際に多くいらっしゃいます。

しかし、治療は誰のためでもなく自分のために行うものであることを忘れてはいけません。また、治療の本当の目的は、がんを小さくするためでも、苦しい思いをするためでもありません。自分にがんがなかったときの本来の自分の状況に戻ること、少しでもその状態に近づけることです。それも自分が元気でいることが前提なのです。

何も遠慮することはありません。自分の意見を持っているのは当たり前です。そのためにも自分の方向性と合致するような医療機関を探すという意味でのセカンドオピニオンは必要だと思います。

ただ、これは注意してもらいたいのですが、自分の希望通りに治療を行いたいという意志を持っていても、その治療が実は患者さんにとってとても不利益であることもあります。こういった場合、医療機関側が患者さんの希望通りの治療を行えないこともあります。