3世代同居のために家をリフォームした場合の税額控除も新設される。50万円を超える一定の3世代同居改修工事の費用(最大250万円)を住宅ローンで用意した場合には、その年末のローン残高の2%の税額控除が5年間適用される。自己資金を利用した場合は、その標準的な工事費用相当額(最大250万円)の10%が税額控除される。

前回の大綱に盛り込まれながらも、審議継続中なのが個人型DC(確定拠出年金)の対象者拡大だ。いまのところ加入できるのは、企業型DCのない会社員と自営業者だけ。改正案が成立すれば、加入対象者が専業主婦や公務員、企業型DCに加入している人まで広がるもようだ。

最大のメリットは毎月の掛け金が一定額まで全額所得控除になること。積み立てる運用商品は投資信託のほか、預貯金や保険もある。何度売り買いをしても運用益は非課税のまま再投資ができるので、譲渡益非課税枠が一度きりしか利用できないNISAよりも税制上のメリットは大きいと言えるだろう。60歳まで解約できない点が難点だが、老後のための資産形成と考えれば、むしろ理にかなった制約とも言える。

すでに法律が改正され、16年から実施されはじめたものもある。国債や地方債などの公社債の利益に対する課税だ。売却益は非課税、利子は20.315%の源泉分離課税だったが、16年1月からは、いずれも上場株式などと同じ20.315%の申告分離課税となった。公社債に投資する投資信託も同様だ。上場株式などとの損益通算や特定口座の利用もできる。

常に税制は変わり続けている。新制度の中身を把握して損のないようにしよう。

(構成=向山 勇)
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