“失速メイジ”払拭期す
もちろん、規律だけでチームは強くなるわけではあるまい。地道なフィットネスやフィジカル強化、日ごろのハードワーク(猛練習)があったからである。
選手個々の能力はまったく悪くない。隆盛時代、明大はシーズンが深まると、加速度的にチーム力が高まった。なのに最近の明大といえば、シーズンの深まりとともにチーム力の伸びが弱まっていた。
「“失速メイジ”と言われていることを払拭したい」と、丹羽監督は自嘲気味に言うのである。
「ことしは違います。失速メイジ、これじゃない。前進メイジです。“前へ”の精神です」
紫紺と白のジャージーの明大が、19季ぶりの大学日本一を目指す。今季のスローガンは『リバイブ(復活する)』である。
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松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。