田原氏への質問:仕事をするうえで信念って必要ですか?

【田原】僕に信念はない。あるのは好奇心だけ。普通に考えたら、KADOKAWAとドワンゴの統合は無謀。でも僕は信念がないから、統合が是か非かということに興味がない。それより常識はずれな決断をした川上さんという人物に関心があって今日ここにきたのです。

信念がある人は立派です。でも、信念はときに重しとなります。信念が好奇心の行く手を阻むなら、むしろ信念なんていりません。川上さんは自分を「変わらなくても別にいいけど、変わったらおもしろいからやる“愉快犯”だ」と言っていたが、僕も同じ。気づいたら、理想に向かって走るより、いまおもしろそうなところに石を投げる生き方をしてきた。それが僕に合っていたんでしょう。

遺言:理想を追うな! 好奇心に身を委ねよ

田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。若手起業家との対談を収録した『起業のリアル』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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