中国を過大評価してもいけない

――それにしても、GDPの伸び率こそ鈍化したとはいえ、最近の中国の国際的な動向には目を見張るものがある。2049年まで、あと34年なのだが。

ただ逆に、中国を過大評価してもいけない。確かに、中国が提唱したAIIB(アジアインフラ投資銀行)にイギリスが参加したことは意外で、それだけ中国を巡って世界的な構造変化が起きているということなのだろう。また、米誌『フォーチュン』が毎年、時価総額の世界上位500社を紹介しているが、14年には国営企業を含めた中国の会社が95社もランクインしているのも驚きだ。

私がいいたいのは、これらを含めて中国の国力を把握すべきだということだ。そのうえで、日米の国会議員や政府関係者に、この本に書かれていることが本当なのかどうか検証してほしい。あえて、中国の名言を使わせてもらえば「彼を知り己を知れば百戦危うからず」と『孫子』にある。少なくとも、日本はもっと中国の情報をできれば原文で読み、その真意を解釈したほうがいい。そして、自身の主張は中国語で世界に発信していくことが必要だろう。

マイケル・ピルズベリー(Michael Pillsbury)
1945年米カリフォルニア生まれ。米スタンフォード大学卒業(専攻は歴史学)後、米コロンビア大学にて博士課程を修了。1969~70年国連本部勤務を経て、73~77年ランド研究所社会科学部門アナリスト、78年ハーバード大学科学・国際問題センターのリサーチフェロー、81年国務省軍備管理軍縮庁のディレクター代行、84年国防総省政策企画局長補佐、86~90年議会上院アフガン問題タスクフォース・コーディネーター、92~93年国防総省総合評価局特別補佐官、98~2000年国防総省特別公務員(米国国防科学委員会)、1997~2000年米国防大学客員研究フェロー、2001~2003国防総省政策諮問グループメンバー、2003~2004年米中経済・安全保障検討委員会シニア調査アドバイザー、2004年以降、ハドソン研究所中国戦略センター所長を務める。
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