人間性を形成し、ビジネスを支える、思考法、勉強法……。エリートたちが行う、密かなメソッドを紹介。
▼読んだら3倍、「空→雨→傘」を5回
マッキンゼーでは、新人コンサルタントの「考える」プロセスを徹底的に鍛える。習慣的に脳に汗をかかせる訓練だ。元マッキンゼーの大前研一氏も、「読んだら3倍考える」を徹底して説いた。それはなぜか……。本や新聞、ネットなどから得た情報は、自分なりの考えでアウトプットしてこそ、価値ある情報となるからだ。日常、誰もが無意識に「読んだら考える」を実践している。が、これを意識的に行うことで脳が鍛えられ、「正解のない問い」に取り組む力が形成されるという。その結果、マッキンゼーでは、新卒2年目でも世の中の現実課題に対して、答えを提案できるようになるという。
この提案力は、「読んだら3倍考える」習慣のほか、「So What?(だから何?)」「Why so?(それはなぜ?)」のふたつの言葉で鍛えられる。何かの結論に達したときには、最低5回は「So What?」を繰り返す。「空→雨→傘」の論法も、空が雨模様なので傘を持って出かける、で終わらせず、さらに、SW→大きな鞄のほうがいい→SW……と次々と思考する。課題に直面したときには、「Why So?」を繰り返し、問題を表層から掘り下げていく訓練をする。
どちらも1、2回なら誰でも可能。頭が疲れ「もう出てこない」というところで、もう1回考えるクセをつけると、ビジネスマンとして、より意味のある言葉が伝えられるようになる。本や新聞の情報も、情報から何かを引き出し、アクションにつなげる方法にまで落とし込まなければ、単なる知識の蓄積にとどまってしまうのだ。