学校の勉強を馬鹿にする発言はNG
たとえば私が実際に目にしたインドの公立小学校の算数の教科書は、日本の教科書よりもずっと厚いものだった。日本と同じように、約数や倍数、速さなどの単元が並んでいるが、基本事項の説明のあとには、必ず単元ごとに応用問題が出されていた。日本でいえば、ちょうど中学受験用の問題集の「基本問題」レベルに相当する難易度だ。それくらいのレベルのことは、インドでは普通にやっているのである。
「このままでは日本人はアジア諸国の人たちに負けてしまう」などと言って、国際教育や英語教育の必要性を叫ぶ人はたくさんいるが、それ以前に、このままでは基礎学力の部分でどんどん差をつけられてしまうのではないかと、私はそちらのほうが心配だ。
必ずしもすべての小学生が塾に通わなければならないとは私は思わない。ただし塾に行かないのであればそのぶん親が、子どもの学習状況につまずきや不足がないか、目を光らせなければならない。主要教科に関しては、学校の教科書やドリル以外に、市販の問題集を用意して、家庭でくり返し演習するといい。中学受験用の難しい問題集を買う必要はない。たくさん買う必要もない。ちょうどいいレベルのものをしっかり1冊やるようにしよう。
ただし一点だけ注意がある。「学校の勉強だけじゃ足りない」ということを子どもに認識させるのはいいのだが、学校の勉強を馬鹿にするような発言はNG。先生や学校そして勉強そのものに対する冷めた態度を育てかねないからだ。