問題を解く訓練が圧倒的に足りない

2002年から、公立の小学校では「相対評価」から「絶対評価」に成績付けの基準が変わった。以前はクラスの中で上位何%を「評価3」、それ以外の大半の子を「評価2」、今のままではちょっとまずいぞという場合に「評価1」をつけるようにしていた。

しかし2002年以降は、学習指導要領が定める観点別の学習目標に対して、「十分満足できると判断される」場合に「評価3」、「おおむね満足できると判断される」場合に「評価2」、「努力を要すると判断される」場合に「評価1」がつくようになった。クラスの中での順位は関係ない。

順位をつける必要はないので、現在の小学校でのテストは、授業でやったことがきちんと理解できていれば満点がとれるようなレベルに設定されている。たくさん丸がもらえたほうが子どもたちのやる気も出る。

子どもだからおっちょこちょいや珍解答もある。それで95点、90点ということはときどきあるとは思うが、そういった場合でも見直してもう一度解き直せばすぐに「ああ、そうか」と正解がわかるくらいでなければいけない。いくらケアレスミスや勘違いが多いとしても、80点を切るような点数をとっているようでは、小学校のうちにつけておきたい基本事項が理解できていない可能性が高いと考えられる。早めの手当が必要だ。

さらに、高校受験で難関校合格を目指したいのであれば、小学校の教科書レベルでは足りない。理解した事柄を記憶として定着させ自分のものとするためには、ただ理解するだけではだめなのだ。くり返し問題を解いて、出力しなければいけないのだ。

しかし、現在の公立小学校の授業の中では、問題を解く訓練が圧倒的に足りていない。よって、授業のその場では一度は理解できたものが、記憶としてなかなか定着しない。ましてや複数の学習単元にまたがる活用型の問題を解く機会はほとんどないに等しいので、小学校の授業の中だけでは、活用型の学力はなかなか伸ばせない。不足分については家庭もしくは塾や通信教育で補う必要があるというのが実情だ。