週に1度、PC禁止の3時間
米ビーム社買収や新浪剛史ローソン元会長の社長起用で話題を振りまくサントリーは、意外と地道な施策を継続している。12年末から行っている「プレミアムタイム」だ。毎週水曜日の12時から15時の3時間はPCを閉じる、という単純明快なもの。
「業務の中でITを活用することは不可欠ですが、PCに向かう時間に自分の時間を奪われすぎて、Face to Faceのコミュニケーションが減っているのではないかという疑問が生じていました。新しい価値の創造のためにも、Face to Faceのコミュニケーションや、現場・現物・現実を大切にするアナログ時間を取り戻すことが重要だと考え、プレミアムタイムを導入しました」(広報部・古川あゆみ氏)
プレミアムタイムをどう使うかは各部署のリーダー次第だ。健康食品を扱うサントリーウエルネスの商品企画部では、顧客層であるシニアが集まる東京・巣鴨に足を運んで突撃アンケートを行う「巣鴨調査」などをプレミアムタイムで実施している。
「プリンやガム、シェーバーなど、ジャンルを問わずにヒット商品を買ってきて、人気の秘密を話し合う会議もやっています。事前に申請したうえでPCを使用することもありますが、顔を合わせてみんなで議論することが基本です」(商品企画部課長・茶谷和彦氏)
担当商品や部署の垣根を越えたリアルなコミュニケーションの不足を感じていた茶谷氏は、プレミアムタイムの導入が「重要なきっかけ」になったと振り返る。
「プレミアムタイムの導入後は、担当商品以外のテーマでも積極的に会話をする人が増え、職場の活性化が進んだと感じています」
(葛西亜理沙=撮影)