最近頻繁に起きている噴火と地震は、東日本大震災(いわゆる「3.11」)が誘発したものである。日本列島は「3.11」によって地殻変動が活性化し、9世紀以来という「大地動乱の時代」に入った。その結果、今後20~30年のスパンで、さらなる地震と噴火に見舞われるだろう。

一番懸念される災害は、巨大津波を伴う巨大地震、すなわち西日本の太平洋沿岸を襲う「南海トラフ巨大地震」である。予想される震源域は、「南海トラフ」と呼ばれる海底の凹地に沿った3つの区間に分かれている(図)。これらは東海地震・東南海地震・南海地震にそれぞれ対応し、首都圏から九州までの広域に甚大な被害を与えるのだ。

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予想される震源域と過去の巨大地震

歴史を遡ると、南海トラフ沿いの巨大地震の発生は、90~150年おきという周期性がある。約100年の間隔で起きる巨大地震の中で、3回に1回は超弩級の地震が発生。その例として、1707年の宝永地震と1361年の正平地震が知られている。

実は、次回南海トラフで起きる巨大地震は、この3回に1回の時期に当たる。すなわち、東海・東南海・南海の3つが同時発生する「連動型地震」という最悪のシナリオである。

ここで連動型地震の起き方について、過去の事例を見てみる。前回は昭和東南海地震(1944年)と昭和南海地震(1946年)が、2年の時間差で発生した。また、前々回の1854(安政元)年には、安政東南海地震と安政南海地震が、32時間の時間差で活動した。さらに3回前の1707(宝永4)年では、3つの震源域が数十秒のうちに活動した。なお、過去にこうした3つの地震が、名古屋沖の東南海地震→静岡沖の東海地震→四国沖の南海地震、という順番で起きたこともわかっている。