現実を受け止めて、今後の対策を立てること

老化以外にも、細胞分裂の回数を過度に増やすことは、がんの原因になります。つまり細胞を頻繁に劣化させれば、古い細胞と置き換えるために身体は新しい細胞をつくらなければならず、細胞分裂の回数が増えて結果的にがんになる確率も上がるのです。

たとえば辛いものや刺激の強いものを頻繁に食べると、強い刺激が食道の粘膜を傷つけますから、その修復のために食道の細胞分裂の回数が増えます。その結果、食道がんができやすくなることもあります。

また「便秘がちな人は大腸がんになりやすい」とか、「過度に日焼けすると皮膚がんになりやすい」と言われていますが、これも細胞分裂の回数が増えることで、がんができる確率が上がることが原因の一つと考えられます。このようなことに心当たりがなくても、遺伝子の間違いは日常生活の新陳代謝でも偶然起こるので、普通に生活していてもがんになることはあります。

しかしなんといっても、遺伝子の写し間違いを一番起こしやすいのは放射線です。放射線は遺伝子を傷つけるので、放射線を大量に浴びれば、遺伝子の間違いは起きやすくなります。

とはいえ、放射線は自然界に当たり前に存在するものなので、なくすことはできません。それでも放射線を浴びる量をできるだけ少なくするために、現在は医療で使われる放射線の安全基準が定められています。

とにかく、がんは偶然できるものである以上、どれだけ予防しようと思っても、なるときにはなってしまいます。なってしまったがんの理由を考えても、がんが治るわけではありません。大切なのはがんになってしまった現実を受け止めて、今後の対策を立てることです。

※本連載は書籍『がんを告知されたら読む本』(谷川啓司著)からの抜粋です。