この点、全国展開しているアパグループは、規模の強みを発揮できる。ハイシーズンに黙っていても予約サイトを通してくる外国客は、高値の都市部のホテルで受け入れる。そして「団体客は郊外や地方の大型店に限るようにしています」と元谷代表はいう。

それと、外国客誘致の成功の絶対条件として忘れてはならないことがある。それは人的なサービスだ。「荷物を事前に送っていいか、松阪牛の美味しい店を教えてなど、予約の段階からサイトを通して外国語での質問が入ってきます。お客さまが急病になったときにも、外国語で対応しなくてはなりません。いくら施設が豪華でも、現場で親身な対応ができなければ、魅力はゼロになるでしょう」と関会長は釘を刺す。

外国客の誘致というと大手シティホテルや外資系のラグジュアリーホテルの独壇場のように思われてきた。しかし、ホテル業界の現場は様変わりしつつある。政府は20年までに訪日外国人2500万人(14年比1.8倍)達成を目指す。独自のコンセプトを持った施設、外国客のニーズに合ったサービスなど、おのおのの強みを生かしながら、ミドルクラスの訪日外国人の新市場を開拓していく事業者が、これからも続々と現れてくるだろう。

(熊谷武二、加々美義人、南雲一男=撮影)
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