幸い、20年の東京五輪の招致成功によって首都圏、特に東京都では、様々なインフラ整備が集中的に進められている。それには競技場の建設だけでなく、首都高速の支柱の補強など公共建築物の耐震性能の向上、震災の際のライフラインの確保などが含まれ、そのまま首都直下地震への備えの強化につながっている。

図を拡大
南海トラフ巨大地震の震源域

南海トラフ地震は、時期の予測ができない直下型地震と異なり、発生時期が予想できる数少ない巨大地震だ。フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界にある南海トラフでは、過去約100年ごとに巨大地震が発生、300年に一度の割合で、3つの震源が連動する巨大地震となることがわかっている。

次の南海トラフ巨大地震の発生時期だが、過去の複数のデータから、2035年を中心に、前後に5年の幅を見て、2030~40年と私は予想している(拙著『京大人気講義 生き抜くための地震学』参照)。

この30年代に発生する巨大地震は、巨大津波を伴って産業の中心である太平洋ベルト地帯を直撃する。想定死者数は最大で東日本大震災の16倍となる32万人に達し、被害人口は6000万人と、日本人の半数に及ぶ。政府による最大想定被害額は、東日本大震災の20兆円の11倍にあたる220兆円。この南海トラフ巨大地震への対策こそ、今後20年間の日本における最重要かつ喫緊の課題といえよう。