月額980円で“授業受け放題”のオンライン予備校

受験は、家族の一大イベント。若い人たちの懸命な努力の結果に一喜一憂した後は、新たな出会いに向けた歩みがはじまる。

個別のモニターで、1人1人が別個の授業を受ける「東進ハイスクール」。ネットとリアルの組み合わせで進学実績を伸ばしてきた。(共同通信イメージズ=写真)

だが一方で、受験市場における少子化の影響は確実に広がる。定員割れの大学が相次ぐ一方で、昨年8月には、大手予備校の代々木ゼミナールが、全国20校で募集を停止するとの発表を行った。

日本の人口は成長から停滞、そして縮小に向かう。しかし、その中にあっても芽生えは絶えない。若い人たちは変わることなく新たなステージへと踏み出していく。この光景は、困難な時代における企業経営のひとつのあり方を示唆してはいないだろうか。

日本の受験産業は、均等に縮小を続けているわけではない。産業を一括りにせず、個々の事業者の動向に目をこらせば、大きな地殻変動が生じていることに気づく。今の受験産業はかつての受験産業ではないのだ。

「受験サプリ」をご存じだろうか。「月額980円で、プロ講師の授業、受け放題」をうたうオンライン予備校である。2012年10月にリクルートが開業し、パソコンやスマホから誰もが利用できる。

このオンライン予備校は、無料会員サービスと有料会員サービスとから成る。無料会員になれば、センター試験や、全国140以上の大学入試の過去問題集を利用できる。あるいは、その場で結果のわかるセンター試験のウェブ模試や、パンフレットや願書の請求も可能な大学情報検索サービスもある。

月額980円を支払う有料会員はさらに、講義動画が使い放題となる。この講義動画は、大手予備校などで長年教鞭をとってきた人気講師によるもので、「センター対策」「志望校対策」「AO・推薦対策」「通年」などのカテゴリで100を超える講義動画が提供されている。

たとえば「志望校対策」の1つ、早稲田大学・英語対策講座には、出題形式に合わせた10回分(1回60分)の動画と確認テストが用意されている。テキストもPDF版を、追加費用を支払うことなく、ダウンロードできる。