地球科学の世界では、「過去は未来を解く鍵」という。9世紀後半、日本は貞観地震をきっかけに地震と噴火が多い特異的な変動期に入ったが、東日本大震災以後の日本も、9世紀同様の「大地動乱の時代」に入ったと見てよいのだ。

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9世紀と酷似する日本列島

東日本大震災の4日後には、富士山頂近くでM6.4の地震が発生し、最大震度6強が観測されている。震源は富士山のマグマ溜まりの直上だった。過去にも1707年の宝永地震の49日後に富士山で大量のマグマが噴出して江戸の街にまで火山灰が降り、昼でも視界が暗くなるという、宝永大噴火が起きている。

幸い、これまで富士山が噴火に向かっている様子はないが、油断はできない。内閣府による04年の試算によれば、富士山が宝永大噴火クラスの噴火を起こせば、被害額は2兆5000億円にまで達するとされる。

日本が大地動乱の時代に入ったことで、火山活動以上に懸念されるのが、海域の巨大地震の発生である。

21世紀が9世紀の貞観地震の例に倣うとするなら、東日本大震災の9年後にあたる2020年に、首都圏をM7クラスの直下型地震が襲い、さらに9年後の29年に静岡県沖から宮崎県沖にかけての南海トラフの3つの震源が連動する、M9クラスの巨大地震が発生する計算になる。もちろん、地球の営みはこの年表の通りに動くわけではないが、そうした時期にあるという認識は必要だ。

日本の人口の3割が集中する首都圏は、最上部に北米プレート、その下にフィリピン海プレート、最深部に太平洋プレートと計3つのプレートが重なる世界的にも珍しい地下構造を持っている。このため東京は世界の大都市の中でも飛び抜けて巨大地震のリスクが高い。そして活断層を原因とする直下型地震の発生時期は、地震学では予知不能なのだ。