お金持ちは社会に貢献する
明治の始まりから現在まで、日本ではどんな人たちがお金持ちだったのでしょうか。
まず明治のお金持ちといえば、「三大財閥」が挙げられます。江戸時代後期の呉服商・両替商だった三井家。江戸時代中期に銅山で成功し、のちに両替・金融業に進出した住友家。明治に入ってから政商として活躍した岩崎弥太郎が、鉱山、造船、銀行、不動産などに進出した三菱家。この三大財閥のほかにも、渋沢栄一、大倉喜八郎、安田善次郎など、新しい産業で成功するお金持ちが多く出現しました。
この時期の富裕層の特徴は、社会インフラの整備に私財を投じたことです。地方の名士は新しくできはじめた郵便局、小学校、病院などをつくるため、自宅やその一部を提供しました。ちなみに自宅を郵便局に提供した人たちが、のちに小泉純一郎が郵政族と批判する特定郵便局となるわけですが、彼らの祖父や曾祖父が近代国家の基礎づくりに貢献したのは間違いありません。
時代は少し飛んで、戦後は松下幸之助を筆頭とする「オーナー経営者の時代」となります。当時のお金持ちランキングを見ると、ブリヂストン社長、住友財閥の総帥、ポーラ化粧品社長と、社長の名前がずらり。重厚長大産業、そして家電産業が日本経済を牽引していった様子が見てとれます。
ほどなくして日本は「土地バブルの時代」に突入。きっかけは田中角栄の日本列島改造論に基づく1969年の土地税制の変更です。土地を売った際にかかる税率が、それまで最高70%だったのを10%に引き下げたことで土地を手放す人たちが増え、高額納税者名簿には「土地成金」がずらりと並ぶようになりました。