【製薬】母親でも普通に管理職をやっている人もいるけど、夫の収入が高く、オカネに余裕があってベビーシッターを雇える人か、あるいは両家の実家が近くて、おじいちゃん、おばあちゃんが面倒を見てくれる環境がないとまず無理だね。だから普通の夫婦で母親をやりながら管理職になるのは極めて難しいよ。

【建設】そう。だからうちの独身女性たちは働き続けるにはいい相手を選ばないとねとはっきり言っている。自分の生活に対する理解があり、かつ経済力のある人、そして子育てのサポート環境がある男を選ばないとね、と女性同士で言っている。

女性課長は手加減しない

【食品】いかに女性を育てていくかが重要だ。もちろん一概にはいえないが、どちらかといえば、叩いて伸びるのが男性、褒めてその気にさせるのが女性かな。40歳前後の男性上司は叩かれて育った人間が多く、言葉遣いも含めて同じことを部下にもやってしまう。部下が素朴な質問をすると「そんなこともわからないのか」と言うか、「おまえだったらどうしようと思っていたの」と言うか。自分の経験値を物差しにして、できる、できない、を測る上司と、一人ひとりの成長具合を見て個別に対応する人とでは育ちやすいかどうかが違ってくる。

【建設】今、営業部門の女性の育成に力を入れている。うちは戸建ての建築・販売もやっているが、そうなると商談はご主人が帰宅する夜になってしまう。当初は女性営業職が一人で訪問していたが、終わるのが11時過ぎになってしまい、危ないので男性社員と車で一緒に行くことにした。当然、その分、人件費はかかるけどしょうがない。でも一緒に行く女性社員と先輩男性が不倫に走ってしまうという話も出てきた(笑)。結構大変だったな。

【IT】それって女性に甘くない? 女性が育っているかどうかよくわかるのが部門横断のパーティ。入社数年でよくわかる。女性同士が集まり、若手の女性を見て「あの人はどこのお姫様なの」(笑)って話題になるくらい。女性の管理職が「ああ、あそこね、あの課長、なにを甘やかしてんのよ」とか、そういう会話が交わされる(笑)。別の女性課長は「あの新人、なんかのんびりしているわね。彼女は自転車で回ってるけど、雨が降ったら男性社員の車に乗せてもらってお客さんのところに出かけているんだろうね」とか言っている。逆に、若手の女性は女性上司のいるところに異動させて鍛えなきゃと思うこともある。その結果、がさつになることもあるけど(笑)。