橋下市長の発言力と突破力、宣伝力は抜群

【塩田】2014年7月に維新の党が旧維新の会と石原慎太郎元東京都知事らが率いるグループ(次世代の党を結成)に割れたとき、片山さんは石原さんと同じ旧太陽の党の出身なのに、次世代の党に行かず、橋下さんの維新のほうに残りましたね。

【片山】もともと旧太陽の党が維新と合併するとき、私も平沼赳夫さん(次世代の党党首・元経産相)も賛成でなかったけれども、石原さんは「小さい党では意味がない。大きな勢力にならないとダメだ」と言った。確かにそうだと思いました。橋下さんのほうも消極的だったし、こっちも抵抗がありましたが、一緒になったわけです。

2014年7月に分かれるとき、私は国会議員団の政調会長でした。政調会のみなさんに「ぜひ残ってくれ」と言われました。また4月に参議院で先行して旧結いの党と統一会派をつくった。私が会長になり、両党の計11人の議員で仲良くやってきたので、ここでばらばらになるのは辛い。ここでまた分かれて元に返るのはみんなのためにならないと思ったから、平沼さんらに断り、私は維新に残りました。

【塩田】政治リーダーとして橋下さんのどこを評価していますか。

【片山】今までの政治家は、リスクを伴うやや難しいことは言いませんが、言いすぎるくらいいろいろなことを言う。言ったことはやっています。発信力と突破力、発想も抜群です。それに礼儀正しい。私も石原さんも年寄りだけど、そういう老人キラー的なところもある。

【塩田】難点は。

【片山】敵をつくって物事を進めるところです。だから、無用な敵ができる。

【塩田】橋下さんと松井さんのコンビはいかがですか。

【片山】いいですね。松井さんは融通無碍、橋下さんは直情型で行け行けドンドン。上手にバランスを取っています。

【塩田】引退表明の記者会見で、橋下さんは「僕は課題が出てきたときのワンポインリリーフ」と自ら説明していました。

【片山】半分くらいはそう思っているかもしれませんが、完全にそう思ってもいないと見ますがね。知事としても市長としても、給与、定数のカットを始め、相当やりましたから、政治、行政に自信を持っていますよ。

【塩田】橋下さんが引退表明を行った後、維新の党は、どこに向かいますか。

【片山】新しい体制ができたので、固まっていくしかない。改革政党だから、それを言い続けなければならない。民主党出身の松野頼久代表は野党色を鮮明にして、野党再編を唱え、政府・与党との対決姿勢を打ち出しています。これには違う意見もありますが、私は「『政策は是々非々主義。国会運営は野党』という姿勢で行け」と公の会合でも言っています。今のところ基本はそういう線で行っています。国会運営で政府・与党が強引なことをやるなら、他の野党と組んで抵抗し、反対する。