機能性表示食品は、肥満を救うか

最近、ダイエット業界に、2つの大変革が起きている。1つは「機能性表示食品」、もう1つは「脂肪冷却」だ。

2015年6月12日、食品の健康への働きを事業者の責任で表示できる新制度「機能性表示食品」に基づく初の商品が発売された。第1弾はキユーピーのサプリメント「ヒアロモイスチャー240」で、インターネットと電話で通信販売を行う。ヒアルロン酸Naを含み、「肌の水分保持に役立ち、乾燥を緩和する機能があることが報告されています」と表示される。最初に店頭に並ぶのはキリンビール「パーフェクトフリー」で、16日に販売開始。「脂肪の吸収を抑える」「糖の吸収を穏やかにする」とダブルの機能をうたう。すでにこの2商品を含む37商品の届け出が消費者庁に受理されており(12日時点)、順次売り出される。

キユーピー株式会社の公式サイトより

この新制度の主役になるのがいわゆる「ダイエット食品」だ。消費者庁が受理した届け出の3分の1以上が、脂肪を減らす効果を強調している。

「特定保健用食品(トクホ)」では、製品ごとに国の審査や許可が必要で、体への効果を証明するための大がかりな調査・研究を企業自らが莫大な費用をかけて実施する必要があったが、「機能性表示食品」は、「事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示する」ものである。

つまり、発売前に安全性および機能性の根拠に関する情報などを消費者庁へ届け出るだけで、国の審査等は必要ない。取得にかかる期間も費用もトクホよりハードルが低い。

新制度のポイントを簡単に説明しよう。1点目は、機能性関与成分が特定でき、効果的な量をとることが可能であれば、野菜や魚など生鮮食品でも機能性が表示できること。今後は、機能性成分の含有量を高めた「高リコピントマト」や、「βグルカン高含有の大麦」などの開発も増えていくのではないだろうか。2点目は、機能性表示の根拠となるデータやメカニズムを、消費者に「わかりやすい形」で公開する義務があること。根拠となる情報に誰でもアクセスできれば、専門家やライバル企業の担当者ら多くの人の目にさらされることになる。その透明性の高さにより、「国のお墨付き」なしでも悪質な業者を排除し、消費者の信頼を得られると見込んでいるのだ。そして3点目は、体のどの部位にどんな効果があるのかがわかりやすいこと。「トクホ」で表示されている部位は、歯、骨、お腹だけだが、機能性表示食品では目や肌など、さまざまな部位が表示されていくことになる。