国民が政治に全く関心がないのも問題だが、特定の政治団体に近い教員から教えられた偏った中途半端な情報しかないのに「自分は政治に詳しい。意識が高い」と思っている若者はさらに問題が大きい。

選挙権年齢の引き下げに備えて今年3月、若者の政治参加の拡大を目指す団体が国会内で高校生数十人を対象に模擬投票を行ったことがある。わざわざ国会まで来るくらいだから、参加したのは、政治への関心が高い若者なのだろう。

投票前には自民党の船田元・憲法改正推進本部長、民主党の江田五月・憲法調査会長ら与野党九党の議員が各党の政策をアピール。安倍晋三首相もビデオメッセージを送った。しかし、得票数トップとなったのは社民党だった。福島瑞穂副党首がいつも通り「戦争はいけません!」と叫んだのが高校生の心に響いたらしい。ニュースの映像で「やっぱり平和が大切」と大真面目に答える高校生に私は頭を抱えてしまった。

「平和が大切」なのは当たり前だ。おそらく彼らは純粋に判断して「社民党」と模擬投票用紙に書いたのだと思う。しかし、「平和」「平和」と唱えているだけでは「平和」は決して実現できない。政治の仕事とは、国民の生命と生活を守るために、現実をしっかり把握して、責任を持って具体的な政策を実行し続けることだ。限られた予算の中で優先順位を付け、何かを犠牲にしなければならないこともある。理想だけでは政治はできないのだ。模擬投票ならまだいい。現実の国会議員を選ぶ選挙には責任が伴うことを高校生たちにしっかりと学んでほしいのだ。

政権交代を煽るメディアに流された自称「政治に関心がある」人々が誕生させた民主党政権が何をしたか。「最低でも県外」「トラストミー」で翻弄された普天間基地問題がどうなったか。東日本大震災からの復興の初動はなぜ遅れたのか。「1回やらせてみたら」という若い世代が中心の無党派層の投票が何をもたらしたか忘れたのだろうか。安易な投票は必ず国民自身に跳ね返ってくる。

一票の重みを知らない人間は投票所に行ってほしくないので18歳の投票が始まるまでに、しっかりと選挙の大切さを叩き込まなければならない。少なくとも投票権がある以上、成人国民と同等の権利と義務があると考えるべきで、その場合、罪を犯せば実名と顔写真は公開するぐらいの責任能力があるとすべきだろう。犯罪者は少年院ではなく、刑務所へ入れる。未成年ということで得ていたあらゆる特権を剥奪すべきだ。