パニックの菅直人を焚きつけた孫正義

脱原発・再生エネルギーを進めたドイツは、電力の供給を自国の石炭火力発電、フランスの原子力発電、ロシアのLNGに依存している現状をご存知だろうか。

石炭発電の燃料は、国内で供給される褐炭が中心だ。褐炭は「石炭化度が低く、水分や不純物の多い、最も低品位」の石炭である。発電の際に発生する温暖化ガスも多い。原子力発電に依存しないでエコ社会を実現するつもりが、かえって地球環境の破壊を引き起こし、フランスの原発に頼っている状態は、滑稽ですらある。

日本では、パニックになった菅直人元総理を孫正義氏が焚きつけてはじめた再生エネルギーが、社会を救うかのように勘違いする人も多い。日本のエネルギーは大丈夫なのか。

政府は6月1日に2030年度の望ましい電源構成(ベストミックス)案を定めた。原子力の割合は20~22%、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは22~24%を目指すとしている。

風力・太陽光は百害あって一利なし 電力需給が逼迫し、危ない綱渡りが続く中、風力発電、太陽光発電がさらなるリスクになってきている。さらにはメガソーラー設置のための森林伐採・環境破壊が社会問題化しつつある。(写真=時事通信フォト)

太陽光・風力は発電コストが割高だ。住宅用太陽光の稼働率は、わずか12%で、発電コストは29.4円/kWh。風力は20%、21.6円/kWhだ。天候によって気まぐれに発電量が変わるために、その不足分を補うために莫大な設備投資、保守コストが必要になる。さらには、調子良く発電するときにも対応できる十分な送電設備が必要になる一方で、設備利用率は低く、ムダが多い。

一方、原子力は、稼働率が70%で、巨額の政策経費や事故リスク対応費を含めても発電コストは10.1円/kWhである。火力発電で一番安い石炭発電は、それぞれ70%の12.3円/kWhなので、やはり安定供給とコストを考えると原子力は、まだまだ役割を終えてはいない。CO2を排出しないので、国際公約を守るためにも大切な役割を果たす。