幸せなら100歳まで生きたいのは当たり前
最近、妻に付き添って病院に行ったのですが、腫瘍・血液内科の待合場所のイスに座っていると、小さな男の子を連れた若いママがいました。まだこんなに小さな子がいるのに、と気の毒に思っていると、診察室に呼ばれたのはママではなく、なんと小さな息子のほうだったのです。こんなことがあっていいのか!
と思わずにはいられませんでした。
テレビで有名人のがん闘病を再現した番組を目にすることがあります。このときも70歳前後の人の場合、気の毒とは思いますが、うまくがんとつきあうことで寿命をまっとうすることはできる、と思ってしまいます。
これは有名人に限らないのですが、がんになると取り乱し、家族に当たり散らす人は少なくありません。死を意識しない人はいない病気なので仕方がないのかもしれませんが、70歳前後の人の場合、この度合いがひどいと、なんだか悲しくなってしまいます。情けないな、と思ってしまいます。45歳の私の妻は、病気のことで一度も家族に当たり散らしたことがないからです。
ある日、テレビを見ていると、70を超えたあるお金持ちの有名人ががんになり、死の恐怖に極端に怯え、家族に当たり散らしている再現番組をやっていました。余命の宣告を受けたわけでもないのに、です。その様子を妻と見ていて、不謹慎なことに私は、「フッ、まるでメルヘンの世界だな」と呟いてしまいました。ハッとして妻のほうを見ると、「本当だね」という答えが返ってきました。
お金があって幸せなら、100歳まで生きたいと思うのは当たり前です。私もお金があって幸せなら、絶対にそう思います。人生の美酒を味わい尽くします。いや、私の場合、お金がなくても、不幸でもかまいません。その代り、せめて娘が20歳になるまで、妻には生きていてもらいたい、と思っています。