私が訳した『がんが自然に治る生き方』(ケリー・ターナー著、プレジデント社)を読んだ人から、たくさんの、とてもうれしい便りをいただいています。1冊の本が、多くの人の人生を文字通りに変えてしまう。そんなことが、目の前で起きているのです。

2015年は迎えられないでしょう、と医師に告げられた、末期の前立腺がんの男性がいました。全身の骨に転移し、各種の腫瘍マーカーの天文学的な高さからみて、そう宣告されました。

彼がそのことを告げられたのが2014年11月。そして偶然にも、彼は『がんが自然に治る生き方』を、その直後に、人に紹介されて手にしました。

『がんが自然に治る生き方』(ケリー・ターナー著 プレジデント社)

目が釘づけになったのは、本書に登場する寺山心一翁さんが、肺に転移した腎臓がんから、自宅で、自力で回復にたどりついたというエピソードでした。打つ手がなくなり、医師とケンカした寺山さん。自宅に戻って、はからずも試すことになったのが、水断食でした。身体が衰弱して、水しか口にできなかったのですが、そこから、寺山さんは、すこしずつ身体が力を取り戻していくのを感じた、との記述があります。

前立腺がんの男性は、自分もこれを試してみたい、と思いました。そして東洋医学の治療者に相談したところ、水ではなく、玄米がゆだけをしばらく食べてみてはどうか、とのアドバイスを得ました。

彼は自分で昆布を煮たり、椎茸の佃煮を作ったりするようになりました。それまでは食事についてはなにをいっても耳を貸さなかったのに、と妻も、その変貌ぶりに目を見張っています。医師いう余命がなんだ、生きよう。彼は骨の髄から、気力を取り戻したのです。

「年は越せない」どころか、もう3月になりました。毎日の散歩とお粥、おかずづくりを楽しみに、日一日と生きている喜びをかみしめて、過ごしています――。本書を彼に紹介してくれた人から聞いた話です。