「沈黙という名の地獄」はいつも突然やってくる!深い知識は必要ない。出身県にまつわるキーワードをポンと一言投げかけるだけでいい。あなたが話さずとも相手が喜んで口を開き、場を盛り上げてくれるはずだ。

生活習慣も考え方も異なる相手とコミュニケーションをするのは容易ではない。年齢差があればなおさらだ。会話が途切れ、気まずい空気が漂い、気持ちばかりが焦ってしまう。

そんなとき、窮地を救ってくれるのは出身県にまつわる話題だ。「どちらのご出身ですか?」と聞かれて、不快になる人はいないし、誰しも故郷には愛着を持っているから、場が盛り上がることは間違いない。

問題は、47都道府県すべてのネタをどうやって仕込んでおくかだ。

県民性研究の第一人者で関連著書も多いナンバーワン戦略研究所所長の矢野新一氏は、こうアドバイスする。

「どんな会社でも営業成績がトップの人には、聞き上手が多いものです。相手の出身県にまつわるネタを暗記してしゃべる必要はありません。キーワードを疑問形にして、相手に投げかけるほうがよほど効果的です」

たとえば、群馬県の運動会は白組と紅組が競いあうのではなく、赤城団、榛名団、妙義団と県内三山の名前を用いた組み分けにしている。それを話題にするのであれば「群馬県の運動会は白組、紅組ではないそうですね?」と、質問するだけでいい。“教えてください”という姿勢で臨めば、相手は喜んで答えてくれる。

注意しなければいけないのは、リアクション。ほめるのはよいが批評家になるのは禁物だ。B級グルメの話を聞いて「○○県と比べると……」などと知ったかぶりをすれば、相手の機嫌を損ねる。

隣の地域や隣県の話題を持ち出すのも避けたほうがいい。対抗意識を燃やしているケースが少なくないからだ。青森県であれば東部と西部は仲が悪い。相手が八戸出身であれば弘前の話題は禁句となる。県単位でいえば北陸三県のうち石川県と富山県は、ほどほどに仲がいいが、二県と福井県は犬猿の仲。北陸として一括りにするのは厳禁だ。

また「出身県は?」と聞かれて、県名で答えない地域はプライドが高い。横浜、名古屋、神戸がその例だ。そのような場合には、その地域をとにかくほめる。横浜や神戸は「センスがいい」が殺し文句となる。名古屋はおだてにはのらないが、地元発の有名企業をほめられれば悪い気はしない。

まずは、北海道・東北の鉄板ネタから紹介していく。