世の中の見え方が違ったものに

自分自身を「収益を生み出すための資産」と考えると、今、働いている職場の風景もまるで違ったものになるかもしれない。

例えば会社からの評価を例に取ってみよう。会社から十分に評価されていないと不満を持つ人は少なくない。中には上司の評価が不当だと怒っている人もいるだろう。この気持ちはよくわかるのだが、自分自身を資産と考えるなら、それは正反対の発想ということになる。

(時事通信フォト=写真)

企業というのは収益を生み出す資産そのものといってよい存在なのだが、自身が企業であるならば、上司は自分にとって顧客ということになる。上司から評価されていないということは、顧客満足度が著しく低い状態にあると解釈することができる。企業において顧客満足度が低いという状況になったとき、「顧客が悪い」と怒り出したりはしないだろう。顧客がどんな性格であれ、どうすれば顧客満足度が上がるのか真剣に考えるはずである。

自分自身が収益を生み出す資産なら、上司に対して不満を持つのではなく、上司(顧客)の満足度を上げるための方策について、マーケティング的な視点で考えるというのが正しい姿勢である。

こうした視点が持てるようになると、社内の人事についても見方は大きく変わってくるはずだ。若手のときにはホープと呼ばれた人が、管理職に昇進するとうまく仕事ができなくなるケースは多い。その理由は、若手と管理職とでは、求められる仕事内容が異なっているからである。これを企業に当てはめれば、必要なビジネスモデルが変わったのと同じことだ。管理職に昇進して成果を挙げられなくなった人は、ビジネスモデルや市場の変化についていくことができなかったのである。