大勢の客と脅迫状、裏舞台で安全管理

三越伊勢丹ホールディングス会長 石塚邦雄

1994年の4月下旬、三越銀座店はゴールデンウイークの催しとして、「相田みつを展」を始めた。いまでは、平易な言葉で心に語りかける詩や書で多くの支持を集めているが、当時はまだ、そこまで知られていない。だから、店の幹部に「お客さまがきてくれるか?」と懸念する声もあった。

でも、開催に、賛成した。提案したのは、入社が2年先輩で、販売促進担当のゼネラルマネジャー(部長級)。自分は、店の人事や労務などを受け持つ総務部ゼネラルマネジャーで、着任して2カ月目、44歳だった。