
欧米が主導する国際金融秩序が大きな曲がり角を迎えようとしている。中国が習近平国家主席の肝煎りで今年末の設立を見込むアジアインフラ投資銀行(AIIB)が、アジアから欧州にかけたインフラ投資に大きな存在感を発揮しそうなためだ。3月31日に締め切った創設メンバーへの参加表明は約50カ国・地域を数え、米国、日本が最大出資国であるアジア開発銀行(ADB)の地位を脅かしかねない。
とりわけ日米を驚かせたのは、盟友の先進7カ国(G7)のうち欧州勢が雪崩を打って「中国版アジア開銀」になびいたことだ。3月はじめ、27カ国だった参加国は、英国が3月12日に参加表明したのを機に、ドイツ、フランス、イタリアの欧州勢が一斉に参加表明。オーストラリア、韓国、台湾の親米の国・地域にもドミノ現象を引き起こすなど、日米は寝首を掻かれたも同然で、アジアと欧州を結ぶ市場に中国主導による新たな経済圏が形成される可能性が高まってきた。
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