常にメモ帳を持ち歩き、毎日30~50項目のTO DOリストを赤線で消す。ハンドクリームも愛用。

初回の面談では需要自体があるかどうかを引き出したら、長居せず、最低限の情報を持ち帰って具体的な提案は2回目以降の訪問で行う。決して「押しつけない」のが広瀬氏の鉄則。「お客様にとって価値あるものを提供できるという自信があるので、押し売りはしませんし、過剰な説明もしません」。

では、どうやって顧客を得ているのか。前出の石川氏はいう。

「彼の強みは『コミュニケーション』と『コミットメント』。自分のプライベートな話もどんどんして、お客様の心を開くのが実に上手い。そして、無理をしてでもお客様との約束を守る、という姿勢を貫いています」

顧客、とくに社長からトップダウンでくる要求の中には、「さすがにそれは無理だろう」と思われる突拍子のないものも少なくない。ほかの営業パーソンが「それはできません」とその場で断るものを、広瀬氏は持ち帰り、どうすれば実現できるかと考える。

「固定観念にとらわれず、頭をまっさらにして、できない理由をひとつずつ挙げ、それをひとつずつ解決していく。すると一見不可能と思えることでも、できることがあるのです」

広瀬氏の仕事はリピート率が高いと評判だが、それはこうした水面下の努力にも支えられているのである。

(永井 浩=撮影)
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