時代も味方した太陽電池ビジネス

幸い、昭和シェル石油の本業である石油事業は比較的キャッシュフローに強いビジネスモデルである。利益は薄いものの、大幅な赤字になることはない。ソーラーフロンティアが黒字化するまでのリスクを取れる状況にあった。とはいえ、一時は200億円以上の赤字が続き、事業継続の心配もしなければならなかったのも事実だ。だが、13年には通期での黒字を達成することができた。

このビジネスで直面したのは、在庫が増えてくると、社員がマイナス思考になってしまうということだ。石油ならいつか売れるが、太陽光パネルは技術革新があるとすぐに陳腐化してしまう。多くの人たちが、その処分に頭を悩ませる。しかし、そうした風潮がはびこると、事業は絶対に失敗する。私が「心配無用」といってもなかなか聞き入れてもらえない。そこを打破できるのは成果を見せることだけなのである。

この間、11年3月に発生した東日本大震災による原子力発電所の稼働停止があった。そして、その後の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)がソーラーフロンティアにも追い風になったことは間違いない。但しそれだけではなく、欧米中の有力メーカーとの国際競争にさらされて、苛酷なコストダウンを強いられながらも技術力に磨きをかけたことも忘れてはなるまい。現在、太陽光発電の買い取り価格は高いといわれているが、近い将来、グリッドパリティ、すなわち発電コストが既存電力と同等になるだろう。

ソーラーフロンティアの発展の過程を見ていて、私は時代の変化、その時々のニーズというものに的確に対応することの重要性を再確認した。と同時に、様々な困難を乗り切ってきたことにより、将来起こりうる問題も克服できると確信している。めざすのは、グローバルリーダーにほかならない。つい先日、アメリカで合計280メガワット規模になる太陽光発電所開発のプロジェクトと人材を取得したのもその一環である。これも国内と同じく自信を持って進めていく。

香藤繁常(かとう・しげや)
1947年、広島県生まれ。県立広島観音高校、中央大学法学部卒。70年シェル石油(現昭和シェル石油)入社。2001年取締役。常務、専務を経て、06年代表取締役副会長。09年会長。13年グループCEO兼務。15年3月より顧問。
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(岡村繁雄=構成)