子会社政策は、ファナックに学べ

業種間のセオリーも、ここでは成り立ちません。大手百貨店が仕入れを集約するための専門商社を子会社として設立したとします。業種的には、小売業よりも商社の方が平均賃金は高いのですが、このケースでは、おそらく親会社である百貨店の賃金水準を上回る設定にはならないでしょう。すなわち、規模の論理、業種の論理、収益性の論理を超えて、グループ企業の論理が勝るということです。

また、給与面以外でも、子会社・関連会社によっては、役員や幹部層の大半を、親会社からの出向者や転籍者が占めているケースもあります。ここでも、親会社の中高齢社員の受け皿としての、グループ企業の論理が優先されるのです。設立からの年数が浅い会社は人材不足なので仕方ありませんが、何年経ってもこのような状況が続けば、子会社のプロパー社員のモチベーションは下がってしまいます。

ところが、まれに「親会社>子会社」の法則を打ち破る会社もあります。ファナックという山梨県に本社を置く、東証一部上場の産業用ロボットなどを製造している超優良メーカーがあります。この会社は、もともとは富士通の子会社でした。その富士通も、もともとは富士電機の子会社でした。すなわち、ファナックは富士電機から見れば孫に当たります。

しかしながら、社員の平均年収は、富士電機712万円、富士通770万円に対して、ファナックは981万円と、見事に逆転しています。

子会社が親会社の年収を逆転しているケース

もちろん、高い年収には、その裏付けとなる収益力があります。正社員1人当たりの経常利益では、約5000万円と、極めて高い生産性・収益性を誇っています。

このように、取引関係、資本関係において親会社から独立し、高い生産性、収益性を実現することができれば、賃金逆転は不可能ではありません。しかも、このことは親会社にとっても、大きなメリットをもたらしました。ファナックが上場し、高い株価をつけたことで、大株主であった富士通や富士電機は、株式を売却することで多大な利益を享受できたのです。

ただし、ファナックなどのケースは例外中の例外で、たいていの企業グループにおいては、今でもグループ内の論理が優先しているのです。