異業種コラボで、「地方」の課題に実際に取り組む
私自身、昨年の5月から始まったアサヒビール、インテリジェンス、電通北海道、日本郵便、Yahoo!の5社の異業種社員チームによるコラボ研修に企画・監修者として関わっています。この研修は、各社の中堅社員たちで構成される異業種チームで、5カ月間かけて、北海道美瑛町の地域課題解決プロジェクトに取り組んでもらう、というものです。「社会課題の解決」をテーマとして扱っており、「人材育成」を目的にしつつ、事業活動を通じて社会的な課題を解決していくことを目指すCSV(共通価値の創造)活動の取り組みとなっているのもまたユニークなところです。
研修中に驚いたのは、組織が違うだけで言葉すら通じないことがある、ということです。あるチームで「施策」という用語の解釈が異なっていたために、話し合いが中断してしまいました。メーカーの人にとって「施策」は4、5年かけて行うものだったのですが、広告会社の人はその都度キャンペーンを打っていくことを「施策」と呼んでいたため、誤解が生じてしまったのです。
当然、ぶつかることも多々あります。しかし、このような“異文化体験”を通して、自社の仕事のやり方を見直すことができるなど、人材育成面での効果は大きいのではないかと期待しています。
このように企業内研修は、急速な勢いで多様化し進化しています。研修には、かつて圧倒的な「マイナスイメージ」がつきまとっていましたが、これからは目利きになって、様々な新しい研修を積極的に試すのも一案です。業務を離れ、普段は考えない脳を使ったり、多様な人との経験をなせば、いつもの職場で仕事をする以上の経験ができるかもしれません。
何、うちの会社には、やってみたい研修がない? それなら、この記事を人事・人材開発部に送ってみてはいかがでしょうか。
(構成=井上佐保子)