研修は即現場を持つハードランディング
大山は大阪R&Dセンター採用での応募者200名以上の面接に立ち会ってきた。その際に最も重視したのが「設計力」である。「大手メーカーの場合、中高年になると現場を離れて管理職に就くことが多い。ですから肝心要の設計力が錆び付いていないかを確認しました。その次が『現場で設計をしたい』という意欲です」と大山はいう。
そうした大山のお眼鏡にかなった1人が、パナソニック出身の西谷久弘だ。13年6月末に60歳の定年を迎えた西谷は、1977年に当時の松下電器産業に入社し、翌年から定年まで電子レンジの設計に携わってきた。
その西谷が定年を前にした人事面談で再雇用の希望を出すと、「仕事はありません。ただし、時給820円で週2日ないし3日なら仕事を探してもいいですよ」との回答が。あまりにも厳しい条件のため転身を決めた西谷は、産業雇用センターの門を叩く。そこで提示された求人票の一番上にあったのが、アイリスオーヤマのものだった。
「正直にいうと、面接のときに初めてアイリスオーヤマが電子レンジを作っていることを知りました。電子レンジの設計は他の家電にも応用が利き、電気部品を扱うものなら何でもいいくらいの気持ちで応募したのです」
そんな話しぶりからもわかるように、西谷はオープンマインドの持ち主なのである。それゆえ、「設計の仕事がしたい」という強い意欲が、面接の場で大山にストレートに伝わったのだろう。7月11日付での入社が決まった。