月の支出額を比率管理するとムダ遣い増加

こんなケースがありました。

5年ぶりに再診断に来られたお客様です。前回の資料をみると、食費、光熱費、日用雑費などの月の生活費は12万円でした。ところが、5年経って17万円に膨らんでいたのです。年間60万円の支出増ですから、小さい額ではありません。その変動の事実を告げると、「12万円での生活なんて、いまじゃ考えられません」と。

以前に比べてご主人の年収は100万円ほど増えていました。手取りベースでは80万円くらいでしょうか。

ところが、月の生活費のアップのために年60万円は消えているので、せっかく収入が増えたにもかかわらず、貯蓄ができないという事態に陥っていました。

仮に、今後何らかの事情でご主人の収入が減るようなことがあれば、すぐに生活費の見直しを迫られ、少なからずストレスを抱えることになるでしょう。5年の間に生活費はすっかり膨張していました。

「お金があるから」という理由で支出が増えてしまうことは、「比率管理」でも起こりえます。

現代はモノが溢れる時代です。と同時に、いたるところに「買える環境」も整っています。スーパー、コンビニ、駅ナカ、デパート、ネット、カタログ通販……。

「お金」と「買える環境」の両方が揃ったとき、支出は簡単に増えてしまいます。巧みな宣伝文句が加われば、なおのこと。これではキリがありません。

「生命保険」も比率管理で考えると、おかしなことになります。保険会社は商品説明する際、単身者や夫婦2人の顧客の場合は保険料が家計に占める割合は「4%」でいいが、子供のいる世帯なら「6%以上」にすべき、といったことを言うことがあります。

保険は、お金(保険料)を支払って、お金(保険金)を受け取る契約です。ということは、お金があれば保険の必要性は下がるはずです。ところが、比率で考えると、収入が高い人ほど保険料の額も増えることとなり、本来の保険の考え方にそぐわなくなってしまいます。