保険適用された「舌下免疫療法」とは

症状が出てからの治療では、鼻の中に噴霧する点鼻用ステロイド薬、血管を収縮させて鼻づまりを解消する点鼻用α交感神経刺激薬、抗ヒスタミン薬やステロイドの点眼薬といった局所治療薬を飲み薬と組み合わせて使う。かなり症状が強い場合には、一時的にステロイドの飲み薬を使う場合もある。なお、点鼻用α交感神経刺激薬で血管を広げすぎると逆に鼻づまりがひどくなることがあるので、長期間の使用は避けたほうがいいという。市販の点鼻薬にも含まれているので要注意だ。

薬物治療以外に、レーザー治療もある。鼻の粘膜をレーザーで焼いてスギ花粉の侵入を防ぐ方法だ。レーザー照射後は鼻の中にかさぶたができるが、それが治れば違和感もないという。受験生、妊婦など、花粉症シーズンに薬を飲みたくない人やアレルギー症状に悩まされたくない人はレーザー治療を検討してみてもよいだろう。ただ、鼻水や鼻づまりがすでに起こっているときにはレーザー治療は行えない。この治療は、できたら1月上旬くらいまで、遅くても花粉飛散開始日より前に実施すべきとされる。また、レーザー治療の効果の持続期間は1年程度で、次の花粉症シーズンには症状が出る。鼻の粘膜は同じところに刺激を与え続けるとトラブルを起こすため、毎年レーザー治療を受けるのは難しい。受験など特別な年、花粉飛散量が多い年などを選んで受けるとよさそうだ。

スギが原因の花粉症に関しては完治させる治療法もある。それは、スギ花粉のエキスを少しずつ体に入れて慣らし、アレルギー反応が出ないように体質改善をする「減感作療法」と呼ばれる免疫療法だ。皮下注射とスギ花粉エキスを舌の下にたらす舌下免疫療法があるが、昨年10月、舌下免疫療法に保険が使えるようになり注目を集めている。

スギ花粉舌下液シダトレンを1日1回舌の下にたらし、2分間そのままにした後、飲み込む治療法。その後5分間はうがいや飲食、2時間は激しい運動や入浴を控える。初めの2週間は少しずつ増量し、3週目からは同じ量を毎日2年以上舌下摘下する。3~5年続ける必要があるが、7~8割の人に有効で、治療をやめても症状が軽減するかほとんど出なくなるそうだ。皮下注射による減感作療法にはもともと保険が使えたが、舌下療法は通院回数を減らせ、自宅でできるのがメリットだ。特に最初のうちは唇の腫れや耳のかゆみなどの副作用が出る場合もあり、アナフィラキシーショックが起こる恐れもある。

対象は12歳以上のスギ花粉症の人なので、治療を始める前には血液検査でアレルギーの原因を調べるのは不可欠だ。2年間毎日続けなければいけない、まったく効かない人もいるのに効果があるかどうかは事前には分からないといった難点はあるが、毎日続ける自信があり花粉症を完治させたい人、毎年花粉症で生活にかなり支障が出ている人は治療を検討してみる価値がありそうだ。ただし、この治療法は花粉飛散開始日より3カ月前までに始めなければならない。治療開始時期は、スギ花粉が飛んでいない6~11月が望ましいので、今シーズンは対症療法でしのぎ、花粉の飛散がおさまる季節を待とう。