のどの痛み、発熱などの症状がでる「溶連菌感染症」の患者数が過去最高で、大流行の兆し。大人にもうつるこの感染症の予防法とは。

風邪症状に似た「溶連菌感染症」が大流行の兆し

のどの痛み、発熱などの症状が出る「溶連菌感染症」の患者数が過去10年間で最高に達し、大流行の兆しをみせている。聞き慣れない病気だと思う人もいるかもしれないが、水ぼうそうやおたふく風邪と同様、子供がよくかかる病気の一つで、何度もなる人もいる。例年、患者が増えるのは、冬季、そして春から初夏にかけてだ。

原因は「A群溶血性レンサ球菌」という細菌への感染で、咽頭炎、扁桃炎、しょう紅熱などを引き起こす。紅い発疹を伴うしょう紅熱は、昔は命を奪う怖い病気として恐れられ、患者が隔離されていた伝染病だ。溶連菌感染症の典型的な症状は、のどの痛み、発熱、イチゴ舌(舌に発疹が出てイチゴのようになる)で、全身倦怠感、嘔吐、手足に発疹が出たり、発熱や発疹が治まってから手足の皮がむけたりすることがある。3歳以下の乳幼児では、典型的な症状が出にくく比較的軽く済む場合が多いという。

溶連菌感染症かどうかは、医療機関でA群溶血性連鎖球菌迅速診断キットを用いれば数分間で診断できる。インフルエンザの迅速診断キットは鼻の粘膜をぬぐうが、溶連菌はのどの赤く腫れた部分を綿棒などでのどをこすって培養する。患者数が増えたのは、迅速キットが普及し、ほとんどの医療機関で「溶連菌感染症」と簡単に診断できるようになったためとの説もある。子供の頃、「扁桃腺が腫れているね」と医師によく言われたが、ひょっとしたら溶連菌感染症だったのかもしれない。

治療は抗生物質の服用が中心だ。一般的には、薬を飲み始めて1~2日で熱は下がり、のどの腫れや痛みも治まる。のどが痛いときは、辛い、熱い、すっぱい、冷たいなど刺激の強い食べ物は避けたほうがよい。のどや舌が痛くて食欲が落ちているときには、脱水症にならないよう注意しよう。

重要なのは、医師の指示通り抗生物質を1週間から10日間、服用し続けること。自覚症状がなくなったからいって抗生物質を飲むのをやめてしまうと、心臓弁膜症を起こす恐れのあるリウマチ熱や急性糸球体腎炎といった続発症(合併症)になる恐れがあるからだ。