薬局に並んでいるたくさんの薬。自分が飲むべき薬はどれか、ちゃんと考えたことがあるだろうか。「ブランドを聞いたことがあるから」、あるいは「安いから」という理由だけで選んだりはしていないだろうか。
年々複雑化する「薬選び」
体調が悪ければ、まず病院が基本だ。しかし、仕事があれば、少々のことなら気合と市販薬の服用で働きながら治さなくてはいけない。
そのためには、「効く薬」を自分で選ぶ必要がある。しかし、これが意外に難しい。病院に行けば医師が処方箋を書いてくれるが、OTC薬(処方箋なしで買える薬)は自己選択が基本だ。店に相談できる薬剤師がいるとは限らないし、仮にいても、相談する時間がなかったり、あなたの症状を把握し、適切な薬を提示する経験と知識がない場合もある。また、薬局も利益を前提としている以上、「症状に合う薬」よりも「売りたい薬」をすすめる可能性もないとはいえない。
OTC薬の選択を難しくしている問題はほかにもある。たとえば、似たブランド名なのに、主成分の違う薬が多数存在する(例:ナロンエースとナロン錠など)。逆に、主成分は同じなのにメーカーが異なるために製品名が違うものも多いし、主成分が同じでもまったく別目的の薬として販売されるケースもある(例:睡眠補助剤のドリエルと乗り物酔い止めのトラベルミンなど)。加えて、最近は、処方薬のOTC薬への転換が進んで選択肢が増え、選び方はさらに難しくなっている。
たとえば、頭痛で困っているときに何を服用すべきなのか? きっと多くの人の頭に「頭痛にバファリン♪」か「頭痛・生理痛にロキソニンS♪」などのキャッチコピーが流れるだろう。しかし、両者の効果がどう違うのか把握している人は少ないのではないだろうか。値段はそれほど変わらない(1錠あたりだとロキソニンSの市販価格はバファリンAの約2倍だが、前者は1回1錠、後者は1回2錠服用のため)。しかし、ロキソニンは第1類であるため、薬局で手に取れる場所に置かれていないし、薬剤師がいないと売ってもらえない。この高い敷居を乗り越えるべきか否かは、どう判断すればいいのか。その薬の性質を理解しなければ、自分で薬を選ぶのは難しい。