「自分のオリジナル」をいかに売るか
現在、山田氏はアメリカ進出のプロジェクトの責任者(US事業本部長)として、サンフランシスコに赴任している。本社の社員15人のチームでスタートしたが、その人選をする際、学歴は考慮していないという。
「10数年前、15人で創業した頃に似ています。仕事や役割をきちんとこなすことができるか否かでメンバーは決めます。新卒採用ではないのですから、学歴のことは考慮していません」
アメリカで、現地の人を採用するのは難しいようだ。アメリカの社会においては学歴の意味が、日本とは異なるという。
「高卒でしばらく働き、その後、大学に進学する人もたくさんいますね。面接で丁寧にやりとりをしていく中で、その人の力や実績などを見定めていく必要があります。これはなかなか難しいことです。
日本では、新卒時は学歴を判断基準にすると、採用としては60点を取ることはできます。ある意味で、甘いのでしょうね。可能ならば、アメリカのように一人ひとりを丁寧にみることができるといいとは思います。日本の新卒採用のシステムでは、ななかなか難しいことかもしれませんね」
そして、こう締めくくった。サイボウズの社員たちにも、これに近いことを話すようだ。
「100人いたら、100通りの基準があります。1つの基準でみるから、勝ち組や負け組となるのです。本来は、価値は無限にあるものでしょう。自分の価値をもっと高く評価してくれるところに進むべきです。
それが、商売の原点ですね。欲しいと言ってくれる人のところへ行き、欲しいものを与え、喜んでいただく。学歴社会にいて、大企業に進み、事務処理を繰り返していると、商売のそんな当たり前のことを見失うことがあります。
自分のオリジナル、つまり、他人との違いをどのように売るか。会社員も、自分を売ることをもっと考えないといけないですね。どのタイミングで、何をどのように売るか。そのデザインをいかにするか。このようなことを考える力こそが、今、求められているのだと思います」