ノーベル賞・山中教授人気で全国から学生が集まる

大学入試全体を見ると、経済不況もあって地元の大学への進学志向が強まっているが、その中で京都大は地元の割合が下がってきている。今年の近畿圏からの合格者の割合を見ると51%で、5年前の55.3%を下回っているのだ。地方で合格者が増えたところを見ると、熊本が昨年の7人から21人の14人増、同じく南山(愛知)も5→19人の14人増、東海21→34人の13人増などとなっている。それだけ全国で人気が高まっている。この理由はiPS細胞を発見しノーベル賞を受賞した現役の山中伸弥教授の影響がもっとも大きいが、入試改革で工学部が第2志望を認めるようにしたり、学部の中で入試科目を統一したりして、受験生に分かりやすく、受けやすくしてきたことも大きい。

また、今年は首都圏(1都3県)の合格者が多かったのも特徴だ。西15人、麻布13人、千葉・県立12人、湘南11人、聖光学院9人、駒場東邦7人など。塾関係者が言う。

「都立トップの日比谷、一貫校トップの開成や筑波大付駒場はそれこそ大学もトップの東大志向が強まりますが、その次のレベルになる西や麻布となると、自由な校風ということもあって、東大一辺倒ではなく京大志望者が増えるのでしょう」

今年は東京大で近畿圏の合格者の割合が高まり、京都大で首都圏の合格者の割合が高まった。大学入試全体では地元志向が強いが、理系を中心にトップ層では、地元以外の難関大志向が確実に強まっているようだ。

かつては首都圏でも東京大がダメなら京都大に志望変更、などという動きがあった。しかし、今はそのような動きにはならないという。東京大に点が足りないなら東京工業大、一橋大に志望変更するのが普通だ。首都圏から京都大を目指す受験生層は初めから京都大志望で、学力はかなり高いのだという。その結果、合格者も増えているようだ。また、首都圏の女子校からの合格者も多い。中学受験に詳しい専門家が言う。

「女子学院5人、豊島岡女子学園とフェリス女学院が3人など、首都圏の女子校から京大に合格しているケースが目を引きます。学力の高い女子生徒の保護者は、子どもを手元に置いておきたいとあまり思わず、子どもの自由にさせて社会の第一線で活躍することを応援する姿勢なのでしょう」

近年、京都大の人気はぐんぐんアップしている。16年にはAO入試や推薦入試を実施し、今まで以上に入試改革に力を入れる。ただ、東京大と同じく、京都大の理系学部より国公立大医学部医学科を目指す優秀な受験生は多く、それをどう京都大に目を向けさせるか、中身の充実も大切になってきているようだ。

(浮田輝雄=撮影)
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