取り組みの成果ではなく、プロセスが大事

寝屋川市では2010年以降、毎年、中学校の生徒会執行部が集まって携帯の使い方について話し合っている。その中で「自分からメールを終わらせることが嫌で返信してしまう」という意見が出た。そのため、「メール終わらせ言葉」として「返信不要」と最後に書くことが推奨された。これは、残念ながら、まったく広がらなかったが、実は誰もが夜遅くまでメールをやりたくないというホンネが生徒同士でわかって、「おやすみ」と打ち切りやすくなったという。

竹内准教授は「大切なことは取り組みの成果ではなく、そのプロセスで子どもたち自身が感じることや、意識の共有だ」と言う。

また、竹内准教授が関わった兵庫県立姫路飾西(しきさい)高校生徒会では、2013年、近隣23校の生徒にスマホの利用実態調査を行い、生徒自身が議論を重ねて、今年、一つの提言をした。それは「利用は夜の9時までとするが、就寝直前10分間だけはメールやLINEを確認していい。ただし、返信はしない」というルールだった。返事は翌朝、学校でするということだ(大人では発想できないルールである)。

「無理な禁止は意味がない。大人と子どもがホンネで話し合って、ルールを決めるしかありません。それを地道に繰り返して、スマホをうまく使う文化を作っていくことです。スマホの登場で、試されているのは子どもではなくて大人なのです」と竹内准教授は言っている。

これらの取り組みはなるべく多くの人を巻き込むかたちで展開していくのが実効性もあり、また実施しやすいわけで、こういった動きがより広がることが期待される。

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