刈谷市の夜間使用禁止が全国に波紋

仙台市教育委員会は、4月、市内の中学生全員に携帯・スマホについて「使うのは長くても1日1時間以内」と注意を喚起するパンフレットを作成し、配布している。教職員や保護者向けにも同様の趣旨で配布した(中学生に対して独自の学力調査を実施、使用時間が1時間を超えると数学の平均点が低下する実態をつかみ、1時間以内という目安を打ち出した)。

愛知県刈谷市でも4月、市内の小中高校や警察署、民生・児童委員などで作る刈谷市児童生徒愛護会が、小中学校の保護者に対して「必要のない携帯やスマホを子どもに持たせない」、「フィルタリングサービスを受ける」、「午後9時以降は子どもが携帯やスマホを使用しないように預かる」ことを呼びかけた。

刈谷市の夜間使用制限という試みは全国に反響を呼び、複数の自治体から問い合わせが寄せられた。

実施2カ月後のアンケート調査では意外なことに48%もの生徒がこの使用制限に賛成した。子どもたちにとってもLINEなどでのやりとりが夜遅くまで続くことが負担になっており、夜9時までと枠をはめられることで、打ち切りやすいからだと考えられる。一方で、規制に反発して、食事もまともにとらず、9時まではLINEやゲームなどに熱中する子どもも出てきた。

スマホに対応した生徒指導などについて詳しい兵庫県立大学環境人間学部の竹内和雄准教授は「刈谷市のアンケート調査では中1の生徒の66%が9時以降の禁止に賛成なのに対して、中3では31%ほどと半減します。つまり、中3になると遅くまで使う習慣が根付いてしまっていますが、習慣化してない中1ならばあまり抵抗がないと考えられます。だから、小学生くらいから規則を提示して、みんなで考えていけば、今回のような取り組みの成果は大きいかもしれません」と語っている。

大阪府寝屋川市では2007年に市教育委員会と中学校生徒指導主事会が中心となって、「寝屋川携帯3カ条」<(1)携帯電話の使用は夜何時までと決めましょう(それ以降は居間などの充電器に)、(2)学校には持っていかない、(3)必ずフィルタリングをかける>を策定し、毎年春に市内全中学校に配布している。夜間の使用禁止時間は親子で話し合って決めるという考え方だが、2007年当時としては先駆的な取り組みだった(実は、竹内准教授は公立中学校で教師を務めた後、寝屋川市教育委員会指導主事としてこの策定に関わっている)。