痛風患者は「水」を飲め
痛風もちにしてみれば、水は重要な「クスリ」でもある。
高尿酸血症の患者は、医者から、
「1日2リットルから3リットルの水分をとるように」
と指導される。
尿酸塩として蓄積される前に尿といっしょに排出しよう、という目論みである。
減量が死活問題であるプロボクサーなどは水分も体重を増やすために制限されるが、ちまたの痛風患者がやるダイエットに関しては、3リットル程度の水分補給に神経質になることはない。どうせ、出してしまうのだから。
というわけで、私は、緑茶にはじまり、ほうじ茶、紅茶、ウーロン茶、プーアル茶、ジャスミン茶、ルイボス茶、カワラケツメイ茶、などと、「茶」と呼んでいいのかどうかわからないものと、コーヒーをせっせと飲んでいる。
とりわけ、風呂あがりに欠かせないのが、炭酸水だ。むろん、甘味料無添加の炭酸ソーダ水なのだが、原料の水がちゃんとしたミネラルウォーターなのかそれとも工業的な蒸留水か、で味は異なってくる。あなどるなかれ、飲みくらべているうちに水の産地がわかってくるから面白い。
「おいしい水」とは、ボサノヴァのヒット曲であるが、痛風になって水をたくさん飲むにつけ、その「味」に気づかされたのであった。
86年頃、芋焼酎はけっして全国的に知られていたわけではなく、鹿児島、宮崎地方の地酒という位置づけで、現に東京の某編集部に「伊佐美」が2本置いてあり、うち1本は開封されていたが、だれも飲もうとせず、しげしげと眺めていたら、
「欲しいのなら、持って行って」
といわれ、大喜びで下げて帰ったものだ。
鹿児島を旅した際、芋焼酎を割るとき、
「お湯が先でごわす」
よく注意された。それは水への畏れ、尊崇の念の現われでもあると私は解釈している。
(佐久間奏=イラストレーション)