(3)新しい協働の仕方を模索する

社内において部署を超えた横の協働と階層を超えた縦の協働の双方が活発であればあるほど、企業は顧客のシグナルをより効果的にキャッチし、それに対応することができる。つまり、問題や機会を、より早く見つけることができるのだ。しかし、顧客や提携企業……など、社外との協働も、それに劣らず重要だ。そのための3つの方法を次に紹介しよう。

●製品設計に顧客を参加させる

企業は新しい性能をいつ、どのように顧客に紹介するかを慎重に検討する必要がある。たとえば、生まれたばかりの子どもの成長していく姿を写真に残したいと思っている両親がいるとしよう。彼らはデジタルカメラを買うことにする。ところが、店に行った彼らは、デジタルカメラのあまりに多くの性能や機能に困惑してしまう。

さらに、デジタルカメラにはいくつもの高価な周辺機器が必要だということもわかってくる。プリントするためには、画像をカメラのメモリースティックからコンピュータに移すための特別なドライブを買わなければならない。おまけに、焼き付けしてもらうためには特別なプリンターを買わなければならない。

結局、この若い夫婦はデジタルカメラを店員に返す。店、およびメーカーは、潜在顧客を失ったのである。

このような困惑や失望を減らすには、「秩序立った段階的なやり方で製品設計に顧客を参加させることだ」と、プラハラードは述べている。たとえば、「1つの機能しかないデジタルカメラを顧客に与えて、彼らが使い方を覚えるにつれて、1度に1つずつ新しい機能を追加していってもよい。関心のある機能を追加する準備ができたら、その機能を追加するソフトをダウンロードするという選択肢を顧客に与えよう。製品設計を顧客の学習に合わせて段階的に進化させていくのである」。