「500万円稼げます。150万円払ってください」

入金後、再び男から電話がかかってきた。

「実は、以前にお話した公益情報(当せん番号)への参加者募集を行うことになりました」

そして、具体的な公益情報の入手方法を説明してくる。業者はひと通りの説明を終えると「今回、ご提供できる公益情報は3等(6個の数字のうち5個が一致)の当せん番号で、500万円が当たります(理論上の当せん額は約50万円)」といい、情報料金として、150万円を払ってほしいと言ってきた。

あまりの高額に私が「無理だ」というものの、男は言葉を続ける。

「ただし、あなたがこの情報を受け取れるとは限りません。まず参加の申込みをしてもらい、審査に合格した上での情報提供になります。万が一、情報漏えいがあると問題になるので、あなたが秘密を守れる人かどうかを確かめなければなりません。これから、申込書を送りますので、すぐに返送してください」

メールで送られてきた参加申込書には、「いかなる手段において第三者に開示しない」といった文言があり、情報内容をネットやマスコミなどの流さないことを約束させ、誓約を破った場合「損害賠償を請求されても異議なく支払うものとする」と書かれている。

盗人猛々しいとはこのこと。これは申請書に名を借りた、口止め書類である。ロト6のような情報系詐欺では、守秘義務、情報漏えいなどの言葉で、周りへの相談を遮断しようとしてくる。

実際に、消費者が守秘義務などの約束をさせられて、誰にも相談できない状態に追い込まれ、繰り返し金を請求されている。被害者は、みな第三者に相談してはいけないと思い込まされていたのだ。

例えば、ある40代男性は4回にわたり、情報料名目で200万円以上を騙し取られた。

70代男性は、業者から「抽せん前に2等(6個の数字のうち5個が一致し、さらに申込数字の残り1個がボーナス数字に一致:理論上の当せん額は約1500万円)の当せん番号が手に入る」と電話で持ちかけられた際、業者は2等の当せん番号を伝えて、男性に翌日の新聞で確認させている。

翌朝、男性が新聞をみると、確かに業者の言った番号が2等の当たり番号になっていたので、男性は業者を信じてしまい、8回にわたり約2700万円もの情報費用を払ってしまった。

これはネットですでにわかっている当せん番号を高齢者に教えて、当せん番号が事前にわかると信じさせて金を騙しとる、時間差を利用した手口である。