もう1つの変化は、女性が自分自身の幸福を追い求めるようになったことだ。「婦人公論」で10年ほど前によく売れたテーマは、「妻の幸せ」「主婦の悩み」といった内容。つまり主婦の幸せは家族との関係にあったのだ。

ところがいま売れるのは、「いくつになっても恋をしたい」「老後を1人でどう過ごすか」など、自分がテーマのもの。主婦たちが自分の欲望に肯定的に向き合うようになったのである。もちろんそこには性の欲望も含まれる。大多数の女性は「自分は本当のセックスの悦びを知らない」という自覚がある。結婚前は2~3人しか知らないし、6割くらいの夫婦が結婚後数年でセックスレス。そんな飢餓感を抱えた状態で男性からくどかれたりすれば、自分の中の女性に火がつくのも無理はない。

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なんと「不倫妻」の75%は、「夫との関係は悪くない」

ここまで読んだ男性は不安になってきたかもしれないが、いまの不倫妻の特徴は、家庭を壊すまでには至らないことだ。不倫はしても、「夫のことも人間として好き」という女性は少なくない。恋愛のときめきはほしいが、安定した結婚生活も大事なのだ。これは男性の浮気にそっくりではないか。

ということは、いくら夫婦仲がよくても、浮気をする人はするということだ。ただし、夫が妻のほうをちゃんと向いている場合、妻が浮気に走る率は少ない。妻は夫が自分に関心を失っているということに一番傷ついている。夫はきちんと妻の顔を見て会話をすること。夫にできるのはせいぜいそのくらいだ。

「婦人公論」編集長 三木哲男
1958年、兵庫県生まれ。東京学芸大学卒業。繊研新聞記者を経てフリーライターに。2000年に中央公論新社入社。「中央公論」編集部を経て、03年「婦人公論」副編集長、06年から現職。
(構成=長山清子)
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