医学用語「セックスレス」。女性は男性まかせだったり、男性は力みがあったり。そこで生じる意識のズレ。どうアプローチしたらいいのか。産婦人科医の宋美玄氏に聞きました――。

日本人は日常をベッドに持ち込む傾向がある

「セックスレス」という言葉は、実は医学用語なんです。

日本性科学会の定義によると、「セックスが月1回未満の状態」。アンケートをとると全体の半数以上が該当してしまいます。年齢が高くなるにつれて、セックスレスの割合が増える傾向がある。私が週1回開いている性のカウンセリング外来には、実際に10年以上セックスレスの夫婦が来られることもあります。

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セックスに対して積極的になれない理由

ひと昔前ならば男女の姿にはパターンがありました。男はやりたいからやる、子どもをつくるためにセックスするのに対し、女性はひたすら妻としての“おつとめ”を果たす、という。でもいまは女性にも性欲があって、絶頂感に達することも周知の事実です。

ただし、女性は男性まかせのことがまだ多い。その一方で、男性には女性を気持ちよくさせなければという力みがあったりする。そこで生じる意識のズレが、「セックスって面倒くさい」という感情になっているような気がします。

それと子どもが生まれると、「男と女の関係」から「パパとママの関係」になって、その関係が長く続くと、どうしてもそういうムードになりにくくなってしまう。日本人は概して日常をベッドに持ち込む傾向があるんです。「受験生がいるのにどうしてセックスのことが考えられるの?」みたいな。

では、妻にどうアプローチしたらいいのか。方法としては、若い頃、2人がラブラブだった頃の思い出を話してみる。家で写真を見ながらでもいいですが、クリスマスや結婚記念日などにレストランを予約して、「昔は楽しかったよね」「結婚前に戻ったみたいだね」とか。ときめいていた頃のことを思い出すと、甦るものがあるはずです。女性はイベントが好きだから記念日を狙うのは効果的です。

あとは日頃から奥様のことを労ったり、感謝の気持ちを伝えてほしい。「やっぱりこの人と一緒でよかった」と思わせることが大切です。ただ夜景のきれいなレストランでワインで乾杯するだけではなく、行動と言葉で、夫婦のムードを大切にすることです。