必ずしも手持ちの資金すべてを、どちらか一方に投入する必要はない。個人的には、前述のシナリオが実現する確率は、悲観論7対楽観論3くらいと読んでいる。私自身なら、この予想に合わせて「固定5」を7割、「変動10」3割に分けて購入し、リスクを分散させるだろう。

そもそも、国債に投資するとき、選択肢は「個人向け国債」だけではないことも改めて念頭においておきたい。

個人にも手軽に買える商品として「新窓販国債」というタイプもある。これは従来、郵便局で扱っていた国債をより手軽に買えるよう、最小購入単位を5万円に引き下げたものだ。個人向け国債と異なり法人による購入も可能である。2年もの、5年もの、10年ものの3種類があり、ゆうちょ銀行を中心に、りそな銀行や一部の地銀、証券会社などで扱っている。個人向け国債の発行は年4回だが、こちらは毎月発行しているので、時期を選ばず買いたいときに買えるというメリットがある。ただし、個人向け国債のように国による買い取り制度はなく、満期前には時価での売却になるため元本割れする可能性がある。

また、新規発行にこだわらず、発行済みの国債(既発債)を購入することもできる。すでに市場に流通している国債を、証券会社を通じて購入するというしくみだ。証券会社の窓口に問い合わせれば、そのときどきに購入できる国債の種類や時価、利回りなどを教えてくれる。

さらに、個人向け国債を既発債として売買するしくみもスタートする。大和証券が窓口となり、「変動10」の個人間取引を仲介するというもので、9月中にはサービスを開始する予定だ。
「変動」か「固定」かの二者択一で迷う必要はない。今後の経済動向を考えながら資金を分散するのが得策だろう。

(構成=有山典子)